昨日のdp2 Quattroのポートレート試し撮りで、
なんとなく納得いかない感じがすると書きましたが、
その正体をつきとめるべくDP2 Merillとの試し撮りをしました。
 


このサイトは、ひたすら写真をアップすることを身上にしていますので、
あまりこういった実験写真を上げることはしないのですが、
今後の写真活動を左右する大事な問題ですので、
ここに残しておくことにしました。



DP2 MerrillやMerrill機一般に言えますが、
ディテールを正確に緻密に描ききるために、
シャープ掛かり過ぎと感じたり、
美しく写ってほしいもの(人肌とか)が、
現実通り写ってしまうという特徴があります。



これらを弱めて感じの良い写真に仕上げるのは、
慣れてくれば簡単な楽しい創作作業ですし、
ベイヤー式のでっちあげ画像ではなく、真実に基づく修正です。
だからFoveonから得られた最終画像は「強い」のです。



で、つまらない被写体ですが、こんな比較用写真を撮りました。
(下の写真自体はかなり圧縮しており拡大しても評価には向きません。)
8
SIGMA dp2 Quattro



露出調整以外はほぼオートで現像。
左上部分を切り出し、解像度を合わせるため、
Merrill側を少々拡大。
上下に並べたのがこれです。



8



どちらも開放F2.8で、画面中央にAFでピントを合わせていますので、
アウトフォーカス部分の比較という感じです。
ピントの合っているところは、どちらもしっかり解像しているので、
大きな差は感じません。


しかし、この比較ですと、
遠景の木のボケ方がかなり違うことがわかります。
Merrillと比較するとQuattroの木の描写は、
あまりにも不自然です。
よく見ると、前方左側の建物の壁面も、
Merrillの方は若干ディテールが残っている感じですが、
Quattroの方はグレーのノペっとした均一な表面に見えます。



細かすぎる違いかもしれませんし、
シグマの人も「これでよし」としたのかもしれませんが、
まさにこの表現の違いが、ポートレートでも肌の表面の
アウトフォーカス部分でも発生し、
もう少しグラデーションを感じるはずの部分で、
物足りなさを感じたのではないかと確信しました。



残念ながら、センサーの素性によるものであれば、
ファームアップで完全に改善されることはないでしょう。
となると、ディスコンになると思われるMerrillシリーズを、
大事に使い続けていかなくてはならないということを意味します。



悩ましい状況ですが、
ゆっくり悩みつつ、dp2 Quattroとも、(1も3もSDも?)
もう少し気長に付き合ってみようかと思っています。 



* * * * * * * * * * * * * *



以下、7月2日の追記です。



それから、ちょっとですが、いろいろ試し撮りを続けました。
でも早々と結論が出ちゃいました。
Quattroという意欲的な実験は「失敗」だったということです。



まだファームアップやSPPのVersion upでの改善が微かに期待されますが、
僕がMerrillに期待しているレベルに到達するのはおそらく無理でしょう。



こんな砂絵のような平面的な雲は実際にはありませんでした。
DP2Q0086sky
SIGMA dp2 Quattro (部分切り出し)
 


解像はしていますが、
重なった葉どうしの奥行きは伝わってきません。
DP2Q0089FOVCBbb
SIGMA dp2 Quattro (部分切り出し)



遠景での雑木は、ベイヤーよりもおぞましい表現をします。
14553904973_46a9c872ed_o




このままFoveonのカメラがすべてQuattroセンサーに置き換わっていくのが、
とても恐怖に感じます。



TRUE IIIを積んだこのボディーにMerrillセンサーを是非載せていただきたい。
無理でしょうけど。



そして、sd1 Quattroはもう要りません。




****************


(2015年3月12日追記)

あまりにも検索でこのポストにたどり着かれる方が多いので、
本ページの昔の内容が現状と誤解されるのを恐れています。
(それほどQuattro画質は皆さんの関心事ということでしょう。)

弛まぬSPPの改善により現在はかなり平穏な心境です。
以下に最近のQuattro画質に関する主だったポストのリンクを挙げます。
ご興味のある方は是非覗いてみてください。


SIGMA dp2 Quattroでポートレート(SPP 6.2.0はクリスマスプレゼントか?)

SIGMA dp2 Quattroでポートレート(QuattroはOKで年越し)

比較しました。SIGMA dp2 Quattro + SPP 6.0.5 vs. SPP 6.2.0

ふたり(SPP6.2.1と戯れる)

SIGMA dp3 Quattroでポートレート


 

Comments

    • よろよろ神's comment
    • 2014年11月23日 15:25
    • 5 正に一番正確な所を把握した内容ですね!!
      私はDP2Qを直ぐに処分して1Qは買いませんがその見切りを付けたのが上で仰る通りのっぺりした感じがあらゆる場面で出て来たのでした。
      そして、Merrill系を全てお揃いにしましたので、これ以上のものは要らなくなりました。
      この結果、これ以上の探求は求めないし経済的にも有益な事になりました。
      実にご指摘の通りの不満を2Qの時に感じていたので同じ感じを同感した訳ですね!
      1・2・3MとSD1MとAPO150mm単焦点レンズで整いましたので、来年は全て背負って山に行く予定です。
      共感の記事を・・・・・ありがとう御座いました。
    • saikin_photo's comment
    • 2014年11月24日 01:50
    • よろよろ神さん、コメントありがとうございます。
      今この記事を読み返すと、ちょっと言い過ぎたかなという気もしています。
      この後もいろいろと試し撮りを続け、SPP6.0.5の登場もあって、
      随分よくなった(目が慣れた?)感じです。
      今ではこれもありかなと思っています。
      (でも、Merrillの代わりはきついかな…。)
      カメラとしてはとても使いやすくなったと思いますので、
      目下dp3 Quattro待ちです。(笑)
    • よろよろ神's comment
    • 2014年11月24日 09:18
    • 返信ありがとう御座います。
      敢えて言うと、M系とQ系は12Bitと14Bitの違いがなければM系より著しく
      進化したとは言えないのではないでしょうか!?
      上の遠景の送電線の電線がQの場合は潰れて見えないのがMは見える程度まで現れているのをこの12Bitと14Bitの違いで、Qの輪郭線がMより細いので遠くなると細いのが先に見えなくなる現象ではないでしょうか?
      私も色々テストして見ましたがQは一旦消えた細い輪郭が拡大すれば現れるかを
      実験した結果、現れない事に気づきました。
      これに対し、Mは消えた輪郭が拡大すると現れる事があり、この違いが被写体が
      遠くなるとのっぺりとした像がQの特徴であると感じました。
      また、両系の像をモザイクが出るまで拡大して行くと、位相情報がずれているQに対しMは位相情報がずれない事を容易に解る事でした。
      シグマ社の説明では一番上の一枚のセンサーでこの位相情報を捉える事で後ろの2枚で色の情報を計算させるとしていますが、後ろのセンサーの大きさが少ないので後ろから来る色の情報はその色が位置する位相の情報と大きさが合わないのを蓮算装置が割り出した値を加える事で出来た像になると、M系の3枚の大きさが同じセンサーで捉えた位相情報との違いではないでしょうか。
      長文、失礼しました。
      私の個人的な見解が間違いでしたらお許し下さい。
    • saikin_photo's comment
    • 2014年11月24日 09:38
    • よろよろ神さん
      いろいろ深く考察されていて敬服いたします。
      ぼくは見た感じだけで論じてましたのでお恥ずかしい。
      よろよろ神さんの考察はまさに1:1:4の弱点を指摘されていると感じます。
      SPPのアルゴリズムで治るといいんですが…
      今にQuattroだけに統一されていきそうですから、両方選べる今は幸せなのかもしれませんね。
    • よろよろ神's comment
    • 2014年11月27日 08:37
    • 全く素人の見解を書いただけなので恐縮です。

      しかし外国の写真をじっくり拝見致しました。
      本当に素晴らしい外国の風景は良いですね!(羨ましい)
      私も昔は仕事柄よく外国に行きましたが、今の時代のカメラはなくフィルム時代でしたので難しいカメラでした。
      後、5年でFoveonの基礎となる特許が期限切れになるとN社やC社、S社などが一斉に直列センサーを用いたカメラが出て来る事が予想されます。
      シグマ社のCPUが他社に比べて著しく技術的に遅れているので、この処理エンジンととなるCPUの分野は遥かに優れている他社が参入すると
      劇的に違うFoveon式のカメラが出て来ると思います。
      この前は特許庁の公開された特許申請した直列センサーが3社共にありました。
      その中でS社は4層のセンサーで有機センサーでしたので、さらに面白くなりそうです。
      また、シグマ社もこれらの処理システムのCPUが他社の特許も期限切れに近いのでこれらの回路を利用する事が可能になると、今度はレンズ性能の戦いになるのではないでしょうか!?
      何れにしても凡そ5年後はカメラの世界がユーザには選択の幅が大きく、世界をリードする先進カメラ大国になるのではないかと勝てに思いました。
    • saikin_photo's comment
    • 2014年11月27日 11:52
    • 5年後にシグマを凌駕するカメラが出てくることは容易に想像できますね。
      世の中の進歩は早いもので、今から5年前を思い起こすと、
      ベイヤー式デジタル写真に納得がいかず、しつこくフィルム中判写真にこだわっていた自分を思い出します。
      真にデジタルでも信頼するに値することを実感させてくれたシグマには感謝・感謝なので、少し寂しい気がしますが、
      5年後にまた新しい世界が広がっていれば、それはそれでうれしく、喜んで乗り換えると思います。(笑)
    • おおた's comment
    • 2016年09月24日 23:16
    • 5 初めまして。DPMerrill3兄弟を愛している者です。
      このブログの内容と同じことを思っていました。
      quattroは全然満足できません。(でもデザインは好きだし現像も早い…)
      Merrillの質感を知ってしまったのが不幸なんでしょうか?(笑)
      SIGMAも大好きなのでいつかMerrillも超えるセンサーでまた変態カメラを作ってほしい!

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